1)自筆譜スコアの特徴
推定作曲年は1737年。
曲全体の題名はなく、冒頭に”Ouverture”と楽器編成を記載。曲中に楽器名は記載なし。オーボエダモーレはinAで記譜、通奏低音の数字なし。
曲名または速度記号が記入されているのは
Ouverture, Marche, Gavotte alternat., Sarabande, Air alternat., Polonaise, Menuetの7曲で1曲は無題。Ouvertureの各部には速度記号なし
自筆譜冒頭

2)Ouverture
リュリ以来の典型的な序曲。付点リズムのゆったりした二拍子系の序奏、急速な三拍子系のフーガ風味の中間部、序奏と同じ付点リズムの締めの構成。速度記号はないが、Grave – Allegro – Graveはほぼ確実。Grave冒頭の付点4分音符+8分音符のリズムは、現代書式では複付点4分音符+16分音符となる。
中間部は6/8拍子で3声部のフーガ風だが、厳密な進行ではなくかなり自由に展開され、快活な雰囲気を作り出す。
Grave冒頭

3)Marche
グラウプナーの器楽曲には時々マーチが入っています。
バロックアンサンブル上越2016、上越公演では割愛。
4)無題(Air)
舞曲ではなくオーボエダモーレによる穏やかな歌謡曲。
低音はピチカートを指定。バロックアンサンブル上越2016では演奏効果を考えて弦楽パート全部ピチカートで演奏します。
冒頭

5)Gavotte alternat.(Gavotte 1), 無題(Gavotte 2)
快速な2拍子のガヴォットの舞曲。Gavotte1ーGavotte2ー
ダカーポしてGavotte1と演奏される。”alternat(ive)”は交互に演奏の意味。
6)Sarabande
ゆったりした3拍子の舞曲。単純な構成だがオルガンポイントのような持続音を効果的に用いている。
冒頭

7)Air alternat. (Air1), 無題(Air 2)
明るい4拍子の器楽曲。エア1はホーンパイプ風の快活な弦楽合奏。エア2はオーボエダモーレが入り、少し柔らかい中間部を作り、ダカーポしてエア1に戻る。
8)Polonoise
ポーランド発祥の遅めの3拍子の舞曲。バロック音楽後期の
フランス、ドイツでは盛んに作曲された。この曲は頻繁に転調し、しかも離れた調性にとんで、独特な和声感がある。
バロックアンサンブル上越2016、上越公演では割愛。
冒頭

9)Menuet, 無題(Trio 1), 無題(Trio 2)
3拍子の舞曲。メヌエットートリオ1ーメヌエットー
トリオ2ーメヌエットと続けて演奏される。
