「これが私の生きる道」

2016年8月上越地域情報紙【あどば】掲載

第222回

古楽器が伝える「作曲家の想い」バロック音楽の魅力に触れる

2016年8月31日(た)

藤原 満(ふじわら みつる)さん
上越市高田地区 在住
バロックアンサンブル上越・NTコネクション 代表

上越市で医院を営む一方、J・S・バッハなどが有名な「バロック音楽」の演奏活動に熱心に取り組んでいる藤原さんは、現在ふたつの演奏グループの代表を務めている。子供のころからピアノや合唱、バンド活動などで音楽に触れ、大学で管弦楽サークルに入ったことからクラシック音楽に傾倒するようになった。

各メンバーは「友達の友達」が自然とつながったのだそう。「バロック音楽に限るとその奏者は多くはなく、少しマニアックなところがあるので『やりたい』と思っている人とは逆にすぐにつながりができるんです」と藤原さん。上越在住のメンバーを中心とする〈バロックアンサンブル上越〉では現代楽器による演奏活動を、新潟・富山のメンバーによる〈NTコネクション〉では古楽器(=バロックスタイルの楽器)による演奏活動をしている。

「たとえ同じ名前の楽器でも、今と昔とでは音も見た目もずいぶん違う。電気の無い時代なので音量は小さいぶん、当時の音が再現できるところが面白さのひとつです」

また、古楽器で演奏すると、現代楽器ではわからない“作曲家の想い” が伝わってくるという。今の楽器なら当たり前にできても、当時の楽器ではできないこともある。響きや音色も違う。「でも当時の作曲家は、それらを踏まえて作曲をしていたはず」。古楽器が曲の“本当の姿や意味” を教えてくれると言い、それが現代楽器での演奏にも生きてくるのだそうだ。

来たる10月9日(日)には、上越市西城・カトリック高田教会で〈NTコネクション〉の演奏会が控えている。「毎年、世界中でいろんな曲が生まれますが、その多くは忘れ去られていきます。バロック音楽が300年以上残っているのは、普遍的な魅力がある“良い曲”たちだからだと思うんです。当時の音楽の面白さ、作曲家たちの偉大さを、多くの方に味わってほしいですね」――バロック音楽と出逢う芸術の秋を、身近な上越で。偉大な才能に触れる感動は、世代や経験を問うことはない。

過去の〈バロックアンサンブル上越〉の演奏会の様子。カトリック高田教会にて。

藤原さんはふじわら耳鼻科の院長で、アマチュア・オーボエ奏者。1990年代よりバロック音楽の演奏活動を開始し、上越市・新潟市・富山などで演奏活動を行なっている。